フィクションのなかでの科学と超自然との混和

 フィクションで描かれる、例えば失われた文明というのはSFの領野だと思います。このような「科学」とあわせて、ファンタジーの側面の「超自然的設定」とが同じ作品の中で描かれていると、違和感を持つことが多いです。


 ある現象を科学でも説明し、また、超自然的設定からも説明するというのは、不条理です。(高度に発達した科学が、登場人物には魔法にみえるというのはまた別です)
 しかし、SF作品の中で超自然的設定が描写されていても自然に読めてしまいます。これらの作品の中では、科学で説明できる部分とそうでない部分とが明確に区別されているからです。つまり、科学で説明できないということを描写したいという(無意識の)意図が底にあります。そうでなければ、科学の視線からの描写を作品の中でどう位置づけてよいものか宙吊りになってしまいます。


 もう一つは、この違和感の原因は単に作者に科学の知識が不足しているのではないかということです。科学というのは工学や技術とは別です(「科学的」ということを十分に説明することはできませんが……)
 何らかの機械的物理的手段を用いているような描写があるのだけれど、その原理について言及されない、というのは作品の中で例外的にしか許容されるべきではないと考えます。
 でも、この点は単にSFの作法に従っていないというだけのことで、SF読みの独りよがりなのかも……