楽園追放

 数ヶ月前にAmazonプライムで見た。


 ヒロインのラストネームがバルザックというのは誰が決めたのだろう。虚淵なのか。確かフランス文学の人だった気がするが、読んだことはない。語感が硬めに聞こえるというか、ヒロインらしからぬ命名だと思うのだが何か意図があるのだろうか。


 キャラクターデザインがちょっと露骨だし、キャストも狙いすぎという気もする。
 ぱっと見の印象よりSFらしい作品だと思うので、食わず嫌いで見ない人があったらもったいない。いやでもそういう人はSFらしい、なんてことに価値をおかないだろうか。


 以下、ネタバレ含む
 仮想化された世界に住む人類。管理された人類。楽園にも思われるがその実態は人間性が奪われるディストピアだった。
 高度に管理された幸福な人類というのは、虚淵さんの作品に通底するモチーフのようだ。


 やはり虚淵さんは良いなと思ったのは”仁義”のくだり。
 ロボットは人間の不合理器な行動を贈与論?のような反対給付という概念により理解したと言うが、メンターである大人のキャラクターはそれを一刀両断するように”仁義”を突きつけて示す。


 そう、この”仁義”もまた計量不可能な絶対的な価値基準であり人間の人間たるを示すものの一つだろう。