Flowers

 マユリルート完。


 切ない悲恋の物語。
 それを描けるメディアに行き会えたことに感謝する。改めて。


 蘇芳は別れを決意する。自分と恋人と友とが過ごす世界を、システムを維持するために。共に日々を送るためにはやむを得ない。


 一方で、想い人は決意を、覚悟を固めていた。
 道ならぬと別れを強いられるなら、自分にはとても堪えられはしない。ならば、殉じると、決めた。


 彼女には友を残す。自分がいなくなっても、彼女と友との関係は残すことができる。
 彼女が一人になってしまうことは絶対にあってはならない。
 そのためにできるただ一つの選択。自分がいなくなることで、彼女の安寧が保たれるのなら……。


 彼女には悟らせず、黙って去ってしまったマユリ
 それを知った蘇芳はその場にくずおれた。
 その慟哭が聞こえるようだった。


 メニュー画面に復帰すると、イラストが変わっていた。三人が並んだ画になっている。
 しかし、一瞬のフラッシュのあと、マユリの姿は消えている。そこでまた泣きそうになった。


 キャラクターデザイン。マユリは誰よりも眼が大きく描かれている。
 その言葉遣いとは裏腹に。


 大人びているようで、幼く。
 おおらかでいるようで、繊細な。


 誰よりもイノセントな少女を描くのに成功しているだろう。