花咲けるエリアルフォース

花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)

花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)

 杉井光の作ということで購入したが、積んであったもの。


 作中では幾度か「靖国で逢おう」という台詞が登場する。
 神様のメモ帳でもこの台詞はあるキャラの口癖で、そこではもっぱらギャグだったのだが、この作品は日本をモデルとした国が内戦状態にあるという世界設定であり、そのままの意味で使われる。


 今まで「靖国で逢おう」というのは、戦中日本の国粋主義を示す記号としか感じていなかった。
 けれど、ほんの何十年か前、この言葉を最後に戦場に赴き、そして命を落とした人たちがたくさんいたのだというと、実はひどく重い意味を背負った言葉なのだということを今さらながら感じている。


 この作は、多くの凝った設定があって、そのあたりも楽しい。
 以下ネタバレを一点だけ。

このいかれたおもちゃはな、時間が人間の意識を過去から未来へ押し流す力を利用して動いてンだ
P191

 時間の意識の関係を考えたことがある人なら、面白い表現だと思うんではないでしょうか。