一箱古本市の値付けについて考えていたが……

一箱古本市が終わった翌日、楽しかったお祭りの余韻も冷めつつあり、なんとなく値付けについて考えていた。

 

自分が新品で購入したような状態が良い文庫本も一律100円で売ったのでもったいなかったという感触もあった。

値付けも楽しみのひとつという話も伺った。なるほどと思った。

利益率という視点はある種のゲーム的要素になるだろう。また良い本には相応の値段を付けるべきかもしれない。

 

そのとき、ブース設営前の隙間の時間にスタッフの一人と話したことを思い出した。

その方は出版関係にお勤めで、当然近年の出版事情にも通じており、文庫化の時期についての話題になった。

書店は文庫の棚の方が大きいので文庫化するとより多くの書店で取り扱うことができ、出版社にとってメリットがあるのだという。

一方で書店では単行本の方が利益が大きいので、あまり早い時期に文庫化することを歓迎しない向きもあるらしい。

そのような利害の対立があるのが意外だったのでよく覚えている。書籍の売り上げが減少する中でシリアスなことである。

 

そこで、はたと思ったのはこのイベントがどれだけ盛況だろうと出版社にも書店にも直接の利益が全くないことだ。

スタッフの中には少なくとも二人、出版社に勤めている方がいた。書店に勤めている方もいた。その人たちがどういう思いでこのイベントを見ているか聞いてみればよかった。