ヤキトリ 第1巻
人類より進んだ文明によって地球が植民地支配されているような状態。人類は家畜程度に認識されている。
ヤキトリというのは傭兵のようなもの。損耗率の高い戦場に投入される消耗品という扱い。名前の由来もストーリーが進むにつれて明らかになっていく。
主人公は事情があって収容所に収監されていたが、そこから抜け出すためにこの傭兵に志願する。実はこのチームはあるプロジェクトのために集められた人間たちで、特別な新兵訓練プログラムが課される。
冒頭に訓練の1シーンが描かれているが、戦闘開始まで時間がないという状況で籠城するか打って出るかという作戦の選択で5人のチームで意見が分かれてしまう。議論するが結論は出ず、結局コイントスで決めることになる。
作者は集団的な意思決定や合意形成というものを全く信頼していないのではないか。仲間意識とか戦友同士の紐帯というものが描かれない。これは丁寧に排除されているのではなくて、作者自身がそのような人間観を持っているのではないかと思う。
ゲーム的社会観?
人間的な成長がない。内的な葛藤がない。新たな環境でその場のルールを学ぶということであり、自身が変化することはない。
最初からクリアな世界観を持っていて、それに基づいて戦略を立てている。
数字によって評価されるということを受け入れている。承認欲求の次の世代。感情的なレベルでの承認ではなくて、他者や社会が自分を様々な尺度で評価するということを当たり前として大人になっている。自己表現に価値を置かない環境で育っているので、自分を表現しようという欲求がない。共感を得ようという欲求がない。
自分の内なる願望ではなくて、外的な評価を高めることそれ自体を価値とし、目的としている。