パラサイト

20/01/18に見に行った

パルムドールということと、ネタバレ禁止というのに釣られた。

総じて良い作品だっと思うし、社会問題にもからんでいた。

 

以下、視聴済みの前提で、さらにポイントだけ書く。

 

作中、やたらと「リスペクト」と連呼するおじさんが居て、自分の中ではリスペクトおじさんと呼んでいる

 

彼のリスペクトは字義通りのリスペクトではなく、資本主義社会における被支配者としての心理が発露したものである。

これは、競争に勝った者が優れた者であり、彼らを尊敬するべきだという競争原理的価値観が内面化し、さらに尊敬からすすんで、歪んだ崇拝にまで至った病的な心理である。

 

お父さんが家主を刺すという衝動に至ったきっかけは、家主があらわにした嫌悪の所作だけではない。

リスペクトおじさんの病的な心理を憐れみ、彼の心理が反転して憑依し、彼に代わって復讐したのだ。

 

資本主義的価値観の内面化とそれによってもたらされる精神のひずみ、ひいては社会のひずみ、そしてそれから逃れることの困難さを見て取った。これは精神的にも物理的にも困難である。

すべて世は事もなし。復讐は果たされてはいない。

絶望とともに映画は終わる。

 

 

ただね、俺はこの家族をうらやましいと思ってしまうのだよ。

浅ましさ、薄汚さにどっぷりつかっているが、互いを思う気持ちは本物だろう?

いや実際にああなりたいかというとそれはちょっと考える。

でもスクリーンで見ると彼らは恵まれているという感覚が先に立つ。

なあ、あんたは孤独というものを知っているのか? 本当に?