聖の青春

聖の青春 (講談社文庫)

聖の青春 (講談社文庫)

 師匠である森と聖の絆がとりわけ感動的である。


 聖だけでなく師匠である森も成長する。これもサブストーリーとして妙味があった。


 大崎の筆致が泣かせるものであり、それは少し演出が過ぎるとも思ったが、でもそれで良いのかもしれない。著者も聖を愛する者の一人であった。
 死んだ人間とその物語を美化するのは抑えがたい衝動であり、悲しみの形であり、喪失をうめる心の動きである。