伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)

伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)

 劇場アニメ公開が近いと言うことで書店で平積みされていて手に取った。


 そういうメディアミックスがあったから、エンタテイメント色が強くて「浜路かわいい」って話なのかと思ってたら、全然違う。


 そもそも浜路が物語に登場するころには、決すべきものは決してしまっている。これは作中で語られている通りだ。
 遠い昔の話と、浜路が関わるきっかけになった事件の発端、あるいは結末が語られることで、作品の大半が費やされる。


 私はやはり、桜庭一樹は家族というモチーフをずっと書き続けているのだな、と思った。
 浜路と兄、伏姫とその弟、その関係性の描写と、伏と呼ばれるものたちの絆。