時間封鎖

時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)


 SF的にも面白い佳作です。
 大森望さんのすすめもあって手に取った本ですし、良い作品だという評価はすでになされていると思います。



 こんなことをいうと不見識をさらすようなんだけど、アメリカ人もこういうウェットな物語を書けるのね。

 暗くてべったりしたような小説ではもちろんないけれど、ある種の翳りがある。家族をモチーフにとったときに描かれるなんともいえない暗さがある。悪や不条理ではない暗さ。
 メインの3人は責められるような間違いもしていない、度を越した悲運や障害が存在したわけでもない。ただ、本当にボタンの掛け違いのように、ささいな部分から大きな影響を受けることになってしまう。
 その原因として読者は家族というものの不思議さや理性だけではどうにもならない関係性を投影することになる。


 そういえば、SFで家族小説って他にあったっけ? 筒井康隆七瀬シリーズはそれっぽいかな。違うか。