「M:i:III」

 存外に良かったです。このシリーズが嫌いな人はやっぱり嫌いかもしれないけど、そうでないひとは、一度いかがでしょうか。シリーズの転回点とまでは言えないけど、毛色が違う感じはあった。


 プロットは、いつもよりは凝っている感じでしょうか。でも、マスクで中の人が違うとか、二重スパイとかは、目の肥えた人はすぐ予想できてしまうんだろうね。私はそうでもないので、そこそこハラハラしました。
 ラストでハントを救うのが、新婚の妻。初めての銃撃戦でも冷静さを失わず、しかもきちんと引き金をひく肝っ玉を持っていて、その後に心肺停止状態のハントを人工呼吸で蘇生させる(妻が女医という設定はここで回収されている)
 最後の数分でハントはずっと寝ている、というとかわいそうだが、戦闘不能なわけで、この女性が戦うことになる。しかも、「きちんと」戦っている。めくら撃ちでラッキーを呼び込むというのでは断じてない。建具の反射面で敵を捕捉する鋭い観察、機を逃さぬ決断力、また、直前に説明を受けただけのマガジン交換までこなす技術力、これらが描写される。
 主役でない、巻き込まれた女性が、しかも主人公が守るべき女性が、ここまで「正統派の」戦闘をこなしている映画は多くない。
 これらはつまり、彼女は男性的な役割を遂行しているわけで、男性の主人公がいながらにして、このような要素あるという、そこが新しいと思う。