アニメ版「LOVELESS」

 唯一の味方である(と思っていた)兄との死別。主人公を管理するだけで、受容できない母親。教師は善人だが未成熟で不安定で無力。級友は優しいが誰かを救えるほど強くはない。
 まともな大人は先生と呼ばれるカウンセラーらしき女性のみ(これも冗談めかして逆転移を自認してみせるが)
 主人公のおかれたこんな環境は現実をよく引き写していると思う。


 第10話 病的な人物の間で病的な関係が進展していく。その中で研ぎ澄まされるように深まってゆく絆。それはやはり病気なのかもしれないが、他のものを何もかも失って残ったのは二人の絆だけというのは理想的な悲劇である。美意識において。


 自由恋愛の近代社会において叶わぬ恋がリアリティをなくしたとき、悲劇を描くにはファンタジーというジャンルは都合が良いのだろう。