響け!ユーフォニアム2 第10話

 あすかが久美子に対して一線を引くようなセリフがある。
 そんな人に本音で話すと思うか、みたいなニュアンスだったか。


 これは、読者からすると、あすかの苦しみ痛みの表出であり、哀切な叫びであった。


 しかし、これに対して久美子はあすかを気遣うという態度をやめ、自分の望みをあすかにぶつける。
 先輩の本心は、というのでなく、私は、という主語で話すのだ。


 これこそがあすかが求めていたことだった。
 優しさや気遣いでなく、私はあなたを、という気持ちを絆を欲していた、飢えていたのだろう。


 部長の言葉、あなたはそれで良いのか、というアプローチと対比されることになる。


 私はあなたを、というのはつまり一対一の特殊化された固有の関係性である。
 通常は恋愛関係においてこれは描写される。
 あなた以外にあなたはいないという唯一性を互いに持っている状態とでも言おうか。


 しかし、上の例もまた一対一の関係性である。
 久美子があすかに向けた感情も、それに対するあすかの答えも、他の誰にも向けられないものだから。


 これは繰り返し登場する「愛の告白」なのだろう。
 恋愛以外にも愛があり、友情と愛とは排他的なものではないのである。


 百合は恋愛を擬制して発祥し発展してきたように見ているが、これはその潮流の精華というべきか、あるいはポスト百合の始まりとなるのだろうか。